【政治】『A Promised Land』 by Barack Obama (約束の地 : バラク・オバマ) 感想・レビュー

こんにちは。ゆずまるです◎

昨年末に発売されて以来ベストセラーとなっている、オバマ元大統領の回顧録『A Promised Land』の感想・レビューを書いてみたいと思います。

 

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【一言でいうと】

  • 回顧録ですが、素晴らしい2000年代後半の現代史のテキスト!
  • オバマ元大統領の理想・葛藤、政策意思決定プロセス、外交の裏話など詳細に書かれているリアルな政治ドラマ

    ・・・です^^

【内容】

  • オバマ元大統領の回顧録として予定されている2分冊の1冊目
    大統領になるまでと、大統領になってから最初の2年程度の経験について豊富なボキャブラリーで書かれています。
  • 内容が幅広い!テロとの戦いイラク戦争リーマンショック・気候変動・オバマケアなど、内容が盛り沢山。
    しかも、読み手にとってありがたいのは、しっかり歴史やこれまでの経緯などを書いてくれているところ。それなので、背景知識がない人でも読みやすい。
  • こんなことまで書いていいのかなって思うくらい詳しい!
    政策決定に至るまで、大統領が誰を頼ったか、ホワイトハウスの中でどんな議論があったか、そしてどういう思考プロセスで決断に至ったかということを綿密に書いています。また、各国の首脳(プーチンムバラクなど)との個人間のやりとり、多国間交渉の手に汗握る展開なども充実の書きぶりです。
  • ホワイトハウスの中のプライベートについても紙面を割いてくれているので、ミシェル夫人との丁々発止のやりとりや、子どものことを思う親の心境も書かれいて、大統領の内面も垣間見れます^^

【洋書としてのレベル】

  • 構文は洗練されているので結構読みやすいのですが、単語が結構難しい。
  • 700ページ近くあるので、マラソンのようなタフさで何とか読み切りました。

【感想・考察】

  一番読みごたえがあったのは、理想を掲げて大統領にまで駆け上がったオバマさんですが、大統領に就任してからは、現実的判断をしなければならない場面に何度も直面していたところです。

  例えば、2008年の金融恐慌対策として、ウォールストリートの金融機関を救済した局面がありましたが、

   「そもそも、金融恐慌の発端となった高級取りの金融機関を、庶民の税金で救う必要があるのか」という思いと、
  「金融機関が潰れてより経済が混乱した場合、結局に困窮している人が職を失い、さらに苦しむ」といういわゆる too big to fail に直面したときです。

   結局、金融機関をベイルアウトし、もちろん大統領もその判断を当時のベストだと言っているのですが、判断に苦悩する様子がよくわかります。

  本の中でオバマさんは、大統領の席まで上がってくる案件の全て、満点回答があるわけではなく、「一番悪くないのはどれか」というような判断を強いられるもの、といっていました。こういうぎりぎりの判断を何度もしなければならない、大統領のリアルな苦悩が伝わってくる一説でした。

 

  2点目は、やはり各国首脳とのガチンコの交渉の様子です。この内容を書けるのは、アメリカ大統領経験者だけだと、読みながら思っていました。

  コペンハーゲンの気候変動の多国間交渉で、BRICS首脳陣に電撃交渉しにいったときの描写や、アラブの春の運動の中で、退陣ぎりぎりに追い込まれているムバラクとの直接電話のシーンなど、激しい外交のやり取りがドラマチックでしたね。

  そして、それぞれの首脳についての描写も面白い。プーチン首相(当時)をインスタグラマーと重ねて描けるのはオバマ元大統領だけなのではないでしょうか。

 

  最後は、ホワイトハウスの中で発揮する オバマ元大統領のリーダーシップです。大統領は、適材適所に人を配置し、重要な局面では多くのスタッフの意見を聞いていましたね。また、その中でも、バイデン副大統領があえてみんなと逆の立場に立って厳しい質問をしてくれたことにオバマ大統領は感謝していました。

  大統領はそうやって、複数ある政策の選択肢のメリット・デメリットを深く理解し、最終判断を下していくのですが、大統領の聞き上手な様子、スタッフ間の議論を喚起する様子、そして最後は全員が一丸となって課題に向かっていく様子が、見事でしたね。

 

以上です、なかなか大部ですが、ぜひ楽しんで読んでみてください!^^

 

ゆずまる◎