【難民・移民】『REFUGEE』by Alan Gratz 感想・レビュー
こんにちは。ゆずまるです◎
今回は、難民問題ってよく聞くけど、全然知らないない・この問題についてイメージを持ちたいと思い、選んだ本です。
NYTのベストセラーにもなっている『REFUGEE』の感想・レビューを書いてみたいと思います。
【一言でいうと】
- 異なる3時点・場所で難民となった少年・少女を主人公にしたフィクション(なので平易な語彙で読みやすい)!
- 実際の出来事を元にして書かれているので、歴史も学べる!
・・・です^^
【内容】
- 主人公は、第2次世界大戦下でドイツから逃れるユダヤ人の少年、1990年代前半にキューバのカストロ政権から逃れる少女、そして2015年前後のシリアから逃れる少年の3人。
- 異なる3つのストーリーが、どうつながるがるのかも気になるところ💦
- 彼らが直面する理不尽さが鮮明に描かれています。彼らのせいじゃないのに、時には命がけで国を脱出しなければいけないこと、そして旅の途上で搾取されたり、煙たがられることなど。
- このストーリーを通じて、日本の日常では遠い世界の話だった難民の問題に対して少しだけですが、イメージを持てた気がします。
- 物語の最後に、作者が物語を書く上で参考にした実際の出来事の解説が書かれています。教科書には載っていない歴史(シリアは現在進行中ですが)なので、そこは興味深いです。
【洋書としてのレベル】
- 主人公は少年・少女なので、ターゲットの読者層も同じくらいの年齢の子なします。なので、語彙は比較的容易で読みやすいです。
- 本だとやや分厚いですが、1ページ当たりの単語数も少ないので、そんなに長くは感じませんでした。
【感想・考察】
- 彼らが経験することは、最低限の荷物だけ、時には命がけで、知らない土地に飛び込み、その社会になじまなければいけないことです。
作者が最後に書いていましたが、難民の人が経験するチャレンジは、(1)その国から脱出する、(2)目的地までの道のり、に加えて、(3)目的地で生活を整える、それぞれのフェーズであるようです。
そのため、内戦下のシリアやホロコーストの下のドイツを脱出したり、地中海やカリブ海を命からがら渡ったりしてやっとの思いで目的地についてもチャレンジは終わりません。
ストーリーは目的地に至るまでが大半を占めるのですが、そこから受入国の社会になじむ難しいプロセスにも思いを馳せると果てしない気持ちになります。 - 印象的だったのは、シリアから少年が逃れる際、iPhoneでGoogle Mapを一番の頼りにしていたところです。難民問題に接点をもたず生きてきた僕は、この描写でハッとさせられました。僕らが日常使っているiPhoneやGoogle Mapを全く違う目的で使っている人がいるんですね。。
- ホロコーストに関連しては、ニューヨークのJewish History Museumで様々な展示を見たのですが、生存者の方は、とにかく隣の人を宗教や肌の色で差別しない世の中であってほしいということを仰っていましたことを思い出します。80年近く前の出来事ですが、まだ理想には道半ばのように見えます。
- 最後、キューバからフロリダに逃れるストーリーは、2020年の大統領選のフロリダの結果を想起しました。
フロリダは民主党・共和党の争いがいつも拮抗していて、2020年は共和党(トランプ支持)に傾いたのですが、その一因は、マイアミのキューバ系移民が共和党にいったことです。
トランプは民主党(バイデン)を社会主義者とレッテル貼る作戦だったのですが、これがカストロ政権から逃れてきた彼らに響いたんでしょうね。。
以上です、興味深い作品ですので、ぜひ読んでみてください!^^
ゆずまる◎