【アジアン・アメリカン】『Minor Feelings』by Cathy Park Hong の感想・レビュー
こんにちは。ゆずまるです◎
先日、アトランタで痛ましい事件が起きました。被害者の多くは、韓国系の家系の女性でした。COVID-19が中国から始まったということもあり、最近アメリカでは、アジア人に対するヘイト・クライムが多く起きています。
アジアン・アメリカンをもっと知りたくて『Minor Feelings』を選びました。
【一言でいうと】
・・・ですかね(一言でいうのは難しいです)。
【内容】
- 作者の、Cathy Hong Park は詩人でアーティスト。彼女の両親は、朝鮮戦争の争乱の中でアメリカに移住し、彼女は第2世代のアメリカ人です。
- アジア系アメリカ人は、近年すごい勢いで増えているのですが、国全体で見れば10%いるかどうかのマイノリティ。そして白人・黒人やヒスパニックと比べると、勤勉・従順・内向的・政治への関心が低い、などと、ステレオタイプ化されています。「モデル・マイノリティ」とも言われてますが、これは、移民としてアメリカに来たのち、グループとして経済的に成功したマイノリティという意味です。
- あるは、「フォーエバー・フォーリナー」と揶揄されることもあり、これは、アジア人は何世代も前からアメリカにいるのに、未だにアメリカ人とみなされていないということです。(例えば「苦力」と呼ばれた移民が、19世紀に大陸横断鉄道をつくるために働きました)。
- 彼女は、アジア系アメリカ人ですが、アーティストでもあります。彼女の創作が「アジア系」というレンズを通して消費されるのをどう考えるのかとか、詩人だけに、Broken な英語も、アジア系アジア人のアイデンティと重なるのかとか、彼女の内省が多く含まれています。
- 彼女の大学時代で創作に明け暮れた日々やそこでの友人との関係や、ニューヨークで殺害された韓国系アメリカ人のアーティストへの思索なども含まれています。作者の回顧録でもあり、また殺害されたアーティストへのトリビュートのようなものでもあり、まさに、色々なニュアンスを含んだエッセイ集、というように感じました。
【洋書としてのレベル】
- 僕はかなり難しいと思いました。詩人だけに単語も難しいですし、抽象的記述も多く含まれていて、本の内容は全部できていないと思っています。
【感想・考察】
- 一番強く感じたのは、アジア系アメリカ人と、僕らのようなアジア人は、見た目は似ていますが、アメリカを見ているレンズが違うということです。
- 僕は日本人で日本人としてマジョリティの中で生きてきて、ハリウッド(多くの監督が白人)に憧れ、アメリカに来た時も、「自分はここでは外国人だし、お客みたいなものだ」というふうに感じました。
中国人、インド人、韓国人は、日本にいるときはそれぞれ違うと思いますが、アメリカでは「アジア人」として括られることにも何も思いませんでしたし、アメリカはアメリカン・ドリームの国だとか、白人文化への憧れ、みたいな気持ちもありました。 - 一方で、アジア系アメリカ人は、そもそも経済力やバックグラウンドも大きく異なるのに「アジア系」とまとめられ、「従順・勤勉」などとステレオタイプ化され、アメリカの人種カーストの中でポジショニングし、マイノリティとしての経験をしたり、、といったように僕と全く異なる経験をアメリカでしてきた人たちなんですよね。
- アジア系アメリカ人の友人に出身を聞いたときに「〇〇州だよ」と答えれたときは、さらに「その前に親やその祖先はもともとどこにいたの」とか聞きたくもなります。でも彼らにとっては、自分はアメリカ人だから、アメリカが出身なんですよね。なので、結構、出自を聞くのは未だに僕は得意ではありません。
見た目や苗字をみると、勝手に僕は親近感を向こうに持つこともあり、それ自体は全く悪いことではないと思いますが、彼らの経験や歴史をもっと想像したいと思いました。
以上です!難しいですが、素敵な本でした、是非読んでみてください!
ゆずまる◎