【ジャーナリズム】『Working』by Robert Caro の感想・レビュー
こんにちは。ゆずまるです◎
今回は、Robert Caro のRecollectionである、『Working』について書きたいと思います!
【一言でいうと】
- 狂気ともいえる粘り強さで真実に迫るRobert Caroの回顧を通して、「凄み」のあるノンフィクション作家がやっぱり「凄すぎる」ことが分かる!
・・・という感じですね。
【内容】
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Robert Caroは齢86歳のおじいちゃんですが、凄すぎるノンフィクション作家です。その取材力・真理に迫る執念がとにかく凄い!
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彼の有名な作品は、ニューヨークをつくった男Robert Mosesと、ケネディの後の大統領であるジョンソン大統領の人生を描いたノンフィクションです。一冊にかける時間が半端なく長い!ジョンソン大統領の人生は5冊のシリーズものなのですが、1冊目は40年前に出版され、10年に1冊のペースで書き上げています。そのため、86歳になっても5冊目の完成に向けて現在も執筆に当たっています。
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そんなRobert Caroの思いや経験が短くまとまっているのがこの本なのですが、この本の中では、
・なぜここまで1冊の本を書くのに時間がかかるのか
・どのように取材しているのか
・思い出に残るインタビューや出来事
を徒然なるままにも説明してくれています。 -
華やかな本ではないかもしれないですが、ノンフィクション好きにはグッとくるものがあるのではないかなと思います!(私はグッときました)
【洋書としてのレベル】
- 読みやすく、Robert Caroの本の中で圧倒的に短い(笑)ので、簡単に読めると思います。
【感想・考察】
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まず、なぜRobert CaroがRobert Mosesとジョンソン大統領の人生を描こうとしたのか気になるところです。Robert Caroは、彼らの人生というより、Political Powerがどのように人々の暮らしに影響を与えるかを彼らの人生を通して書きたいと言っています。そしてPolitical Powerがどのように獲得され、行使されているかを描き、公衆に知らしめることで、人々の政治への理解を高めたいと考えているようなんですね。
- そうすると、彼の執念とも言える取材力の源は、彼の民主主義への信念だと思います。この本の中でも、民主主義や正義への彼の信念が垣間見れる記述が何個かありました。
- この本を読んだ後、1年以上積ん読している『The Power Broker』を少しずつ読んでいますが、非常に読み手にとって場面が目に見えるように詳細に記述されています。こうしたことが書けるのは、インタビューを同じ人に20回以上したり、ジョンソンが住んでいたテキサスの村に数年間移住したり、図書館の大量の資料をくまなく探したり、、、とにかく彼が「本当に分かる」まで粘り強く取材してくれているからなんですよね。楽しませていただいて感謝です。
- ジョンソン大統領の5冊目の完成を心よりお待ちしています!