【政治】『The Truth We Hold』by Kamala Harris (カマラ・ハリス)の感想・レビュー
こんにちは。ゆずまるです◎
今回は、アメリカ初の女性副大統領である、カマラ・ハリスの著作、『The Truth We Hold』について書きたいと思います。4年後の大統領もしれません^^
【一言でいうと】
- カマラ・ハリスの生い立ち・プロフェッショナルとしての経験、そして未来に向けたビジョンがバランスよく書かれている!
・・・という感じですね。
【内容】
- 作者の Kamala Harris はいわずもがな、アメリカ初の女性副大統領。カリフォルニア州で司法長官を務めたあと、上院議員としても活躍してきました。2020年には大統領選にも出馬しました。
- この本は、大統領選に出馬する直前に出版されたもので、「Kamala Harrisを知ってほしい!」という著者の思いが伝わってきます。
- 本を通じて一貫しているのは、彼女の「声なき声を救い上げる」「弱い立場の人の助けとなる」といった、公平な社会の実現に向けた思いと、親・友人・同僚・有権者に対する愛や感謝です。Kamala はこういう内面の思いを著書を通じて伝えたかったのかな、と思います。
- この本には。母子家庭で育った経験や、キャリアの途上で出会ったパートナーのことなど、プライベートなことも書かれていますが、司法長官や上院議員としての活躍の記録などの政策論も多く書かれています。
行政側で働いてきたのも長いためか、細かい政策の施行プロセスまでのこだわりも書いていて、実務家のような側面も印象的でした。
【洋書としてのレベル】
- 非常に読みすく書かれています。ややアメリカの内政の政策論は読むのがしんどいですが、英語自体は分かりやすく書かれています。
【感想・考察】
- 僕がまず感じたのは、バラク・オバマ大統領の著作とのナレーションの比較です。この本では、カマラの生い立ちからプロフェッショナルでの活躍まで一気通貫に書かれているのですが、ほとんど「人生の寄り道」のようなものが描かれていなかったような気がします。
- バラクは、イリノイ州議会院になるまでは、自分探しの旅のようなことをしていた時期がありましたたが、一方、カマラは、ロースクールから検察官に就職し、バリバリ働いたあと、司法長官・上院にも選ばれていく、という感じで、キャリアをストレートに邁進してきたような印象を受けました。
- このナレーションの違いは、どこから来るのかと考えると、やはり社会が「女性政治家を厳しく見ている」ということなのかなと思います。女性のプロフェッショナルは、常に身だしなみを整えたり、男性社会の中でパーフェクトに振舞うことが求められますよね(何か失敗すると、「やっぱり女性だから失敗した」とか言われる)。
- アメリカの政治家も大多数が白人男性なので、やっぱりこの中で戦っていくには、自分を完璧な存在として仕上げていく必要がある、、そいういうプレッシャーがこういう著作の形にしたのかな、と思いました。
- 次に興味深いのは、彼女の両親と教育のバックグラウンドです。彼女の両親ともアメリカでPhDを取得する超エリートで、本には書いてなかったですが、大変な苦労をしたのではないかと思います。バラクも素晴らしい両親のもとで育っていますし、やっぱり親が子どもたちが飛躍する素地を作っていたのかなと思います。
- その後、彼女はロースクールを卒業し、検察官になっていくのですが、現世代の黒人政治のリーダーは、バラクやカマラのように、人種隔離政策が終わった後に生まれ、白人と同じトップスクールを卒業してきた世代といわれていますね(ほかにも、ニュージャージーの Cory Booker)。これは公民権運動の中から生まれた政治家のジョン・ルイスと比較すると時代の移り変わりを感じます。
- 最後に、この本を読んで、より知りたいなと思ったことは、彼女のパーソナルな面です。彼女の父親や、インドにいる母方の親族などのルーツについてあまり書かれていませんし、移民の子どもとしてアメリカでの息苦しさのようなものもあったかもしれません。大統領選を見据えつつ書いたキャンペーン本ということで、ある程度限界があったのかもしれませんが、こうした面についてももっと知りたいと思いました。
以上です!彼女のますますの活躍を期待したいと思います。
ゆずまる◎