【レイシズム】『White Fragililty』by Robin Diangelo の感想・レビュー
こんにちは。ゆずまるです◎
今回は、昨年の全米中のBLMムーブメントを受けて選んだ、レイシズム関係の本『White Fragility』についてです。僕は日本で日本人顔として生まれ日本語で教育を受けてきたので、あまりレイシズムについて考える機会すらありませんでしたが、多くのことを学ぶことができました。
【一言でいうと】
- 「あなたレイシストですよね」と言われると、「そんなことはない」「人を見かけで判断することはない」と多くの人は反応しますが、その心の奥で何がおきているのか、、、ということを深く掘り下げる本
です。
【内容】
- レイシズムについてのワークショップを手掛ける経験がある作者が、そこでの白人の反応(特に「いやいや、私はレイシストではないから」という否定的な反応)を徹底的に掘り下げます。
- そもそもアメリカ社会が、(個人の意志に関係なく、)社会全体として白人有利な社会になっている事実があります。そのため、白人が
「そもそも家の近所に黒人やヒスパニックがいない」
「人を肌の色で差別したことがない」
と主張しても、白人が白人というだけど社会から恩恵を受けている、ということから逃げられません。 - なので、上記の意味で、全員がレイシストなのです。そのため、「レイシズムなんて関係ない、知らない・自分はレイシストではない」という態度は、現状追認に他なりません。人種によって人々が有利・不利になる社会そのものを追認し、また強化しているのですね。
【洋書としてのレベル】
- 読みやすく書かれていですが、耳が痛い内容なので、その意味で読むのに苦労しました。
【感想・考察】
- レイシズムの本ですが、作者の議論は他の分野にも適用できます。例えば、フェミニズム、LGBTIQ、経済格差などです。なので昨年のBLMムーブメントのとき、フェミニズムやLGBTIQの権利を支持している人も同様に声を上げていましたね。
- 社会は往々にして、マジョリティ・経済的な力を持つ者に有利なようになっていてます。しかも、文化に溶け込んでいたり、明文化されていない形で仕組まれていているので、特に既得権益者にとっては、そもそもこのことを意識していないことが多いのではないでしょうか。
- これは僕自分にも当てはまります。日本人顔、男性、ヘテロセクシャル、五体満足、という生まれだけで、圧倒的に日本社会で生きるには有利です。
- さて、ここで、「君が今いる社会・経済的地位は社会のおかげだよ」と言われたら、なんて言うでしょう。「いやいや、僕の才能・努力のお陰だよ」「ほかの人は努力していないだけだ」と否定したくなるのではないでしょうか。
- こういう既得権益者を受けている人たちが、自分有利になっている社会構造を認めたがらない、自分は関係ないという態度をとると、結局、現状追認となり、既存システムを強化していくのですね。
- 自分はまさに、「今までの自分の頑張りがあっての今がある」と思いたい人間なので、真っ向から、「社会からゲタをはかせてもらってただけでしょ」と言われると、ムカッとしたり、否定したくなります。それなので、この本は本当に耳が痛く、なかなか読むのが大変でした。。
以上です。 是非関心があれば、読んでみてください!
ゆずまる◎